源泉徴収の法律関係と納税の告知

最高裁昭和45年12月24日第一小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・被控訴人・被上告人)
Y:(被告・控訴人・上告人) Y1:X会社の代表取締役、Y2:Xの取締役
Z:税務署長

Y1は簿外定期預金の払い出しを受けた。Y2はX会社所有の不動産を譲り受けた。Zは調査を行い、払い出しはY1の所得に、Y2への売却は低廉譲渡で役員賞与となり、源泉徴収義務者であるXにYらから徴収し納付すべき所得税及び不納付加算税等の支払いを求める納税の告知を行った。XはYらに上記納付額の支払いを求めたが拒否されたため本件訴えを提起。

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国税通則法70条5項の適用関係

最高裁平成17年1月17日第二小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・被上告人)
Y:(被告・被控訴人・上告人) 税務署長

XはA税理士に所得税申告を依頼。その後A税理士の脱税行為が発覚、Xは修正申告を提出。Yは過少申告加算税賦課決定及び重加算税賦課決定。Xは賦課決定が違法であるとして取り消しを求めて出訴。

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質問検査権

最高裁昭和48年7月10日第三小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告申立人)プレス加工業
Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

過少申告の疑いがあるとして税務職員を派遣。しかし応ぜず。Xは不答弁と検査拒否が所得税法242条8号の罪に該当するとして起訴された。

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推計課税における実額反証

東京高裁平成6年3月30日判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人)建設業、飲食業等を営む白色申告者
Y:(被告・被控訴人) 税務署長

確定申告書を提出したが、収入金額及び必要経費に関する記載等がかけており、Yは税務調査の必要性を認め、訪れたが、帳簿書類の提示を拒み、態度は終始非協力的。Xの事業所得金額の推計により、申告所得金額が過少と判明したため、増額更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を行った。

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帳簿不提示と青色申告承認取消処分

最高裁平成17年3月10日第一小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)
Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

Yが事前に通知することなく、Xに税務調査への協力を要請したがXは応じず、帳簿内容を確認できなかった。そこで青色申告承認の取り消し処分を行った。

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青色申告に対する更正の理由附記

最高裁昭和60年4月23日第三小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・被上告人)青色申告の承認を受けた法人
Y:(被告・被控訴人・上告人) 税務署長

冷房機が租税特別措置法において、特別償却ができると考え損金に計上。Yは規定における機械に当たらないとして損金算入を否認。更正及び過少申告加算税の賦課決定処分。Xは取消訴訟を提起。

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帰属を誤った課税処分の効力

最高裁昭和48年4月26日第一小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)知らない間に不動産の所有権が他人に移転されていた人
Y:(被告・被控訴人・被上告人)税務署長

Xらは土地建物の登記簿上の所有権が訴外Aに移転していることを根拠に、譲渡所得の課税処分を受けた。この登記は、親族関係にある訴外Bによって無断で名義が冒用してなされたものであった。そこで無効確認の訴えを提起。

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他人の時効取得を認める判決と後発的事由による更正の請求

大阪高裁平成14年7月25日判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)相続人
Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

Xは本件相続を原因として土地の移転登記をして、相続税申告を行った。Xの配偶者(被相続人)の兄弟が、Xらを被告として贈与、時効取得による所有権移転登記を請求。その兄弟の主張が認められ確定。XはYに相続税の更正請求。Yは更正の理由がないとした。X提訴。

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後発的事由による更正の請求

最高裁平成15年4月25日第二小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・被控訴人・上告人)Aの相続人
Y:(被告・控訴人・被上告人)税務署長

Xは遺産分割協議を行って一度相続税申告を行い、再度修正申告をした。X以外の他の相続人は遺産分割協議が通謀虚偽表示による無効なものとして、別件で無効確認訴訟を提起。その後他の相続人らの請求を認容する判決が確定。
そこでXは更正の請求。Yは更正すべき理由がないとした。Xは異議申し立て。

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法人税法68条と更正の請求

最高裁平成21年7月10日第二小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・被控訴人・上告人)南九州コカ・コーラ・ボトリング
Y:(被告・控訴人・被上告人) 税務署長

Xは法人税法68条1項の規定を適用し、配当等に対して課された所得税額を控除するにあたり、控除を受ける所得税額を銘柄別簡便法により計算して確定申告をした。28銘柄のうち8銘柄につき計算を誤り、所得税額を過少に記載。その更正の請求をしたところ、Yは本件更正請求につき更正すべき理由がないとした。Xは取り消しを求めて訴訟提起。

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