役務提供の内外判定

東京地裁平成22年10月13日判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

A:Xとの間でスポンサー契約を締結

B:Xとの間でレーシングオペレーション契約を締結

Xは本件各課税期間の消費税において、本件各スポンサー契約における契約金は国外取引に該当し、課税対象とはならないとして申告。Yは課税対象となるとして更正処分。

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相続財産の評価~取引相場のない株式~

東京高裁平成25年2月28日判決

(事件概要)
X:(原告・被控訴人)
Y:(被告・控訴人) 税務署長
A:合成樹脂及び金属等による容器等の製造販売 通達178の大会社
B:不動産及び株式等の保有 中会社 BがAの74.7%の持ち分を保有、AがBの83.8%を保有。つまりAの評価額が上がればBも上がるという関係。

Xが相続した会社の相続税評価に関して、B社は財産評価基本通達189に規定する株式保有特定会社に該当するが、A社は該当しないとして申告。課税庁はどちらも該当するとして更正処分。

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相続財産の評価~上場株式の評価と相続開始後の財産価値の下落~

大阪地裁昭和59年4月25日判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

訴外Aが死亡し、XらがAの資産を相続。分割協議未了のまま相続税申告書を提出。その後修正申告を提出し、また、死後認知に伴う相続人の増加を原因とする更正の請求を行った。また、相続財産のほとんどが株式であり、10年間の年賦による延納が許可された。しかしオイルショックに端を発した経済不況で、Xが取得したB社株式が倒産。株式がほとんど無価値になり、滞納。Yは滞納処分としてXの債権差し押さえ。Xは滞納処分の取り消し訴訟を提起。

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相続財産の評価~土地~

名古屋地裁平成16年8月30日判決

(事件概要)

X:(原告)

Y:(被告)税務署長

A:Xの父

Aの相続が開始し、申告したところ、Yがその相続財産中一部の土地について評価額に誤りがあるとして更生及び過少申告加算税の賦課決定処分。Xが不服として取り消しを求めた。

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相続税と同族会社の行為計算の否認

大阪地裁平成12年5月12日判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)広大な農地を所有していた人の相続人
Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長
Z:Xの親

農地を駐車場に転用するため、農業委員会に転用の届を行ったが、Zが死亡したためXはこれを取り下げ。相続税申告の際に2割減額で算定。しかしYは市街地農地にあたるとして時価を算定しなおし増額更正処分。
もう一つ、ZとXは有限会社を設立、駐車場事業を運営。A社から著しく低い価格で全額現物出資をする形でB社を設立。Zは地上権に伴うに地代をB社から得る。B社自体は赤字。二つの同族会社はZの死後、Aに吸収合併。B社の保有していたA社の出資を償却、減資。評価差額に対する法人税額相当額を控除。いわゆるA社、B社方式による租税回避。
相続税申告の際に、本件宅地等の更地価額から地上権割合90%を控除し時価を算定。Yは本件地上権設定契約は同族会社の行為計算に当たるとして、課税計算。

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小規模宅地の負担軽減措置

最高裁平成19年1月23日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)A及びBの相続人

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 博多税務署長

A及びB:Xと養子縁組をした夫婦。土地を所有。その後Xが相続。

Xは相続した土地が特定居住用宅地として相続税申告を行ったが、Yは本件土地ないし仮換値は措置法69条の3第1項1号の適用が受けられないとして、更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分。Xは異議申し立て。

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みなし贈与

大阪高裁平成26年6月18日判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人)歯科医師

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

Xは父Bの死亡共済金の受給権者に指定されており、死亡共済金を受領。しかしこれを所得金額に含めていなかった。税務署長は、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分。取り消しを求めXが出訴。

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贈与における財産取得の時期

名古屋高裁平成10年12月25日判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人)宗教法人

Y:(被告・被控訴人) 税務署長

A:Xの父 市内に土地と建物を所有

Aが本件不動産を贈与。所有権移転登記を行ったが贈与税の申告を行わなかった。なお、公正証書を作成したのが昭和60年3月14日。移転登記が行われたのは平成5年12月13日。Yは贈与税の決定処分及び無申告加算税賦課決定処分。Xは、処分は既に除斥期間を経過しているとして、異議申し立てをして出訴。

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相続財産の種類~土地の売主の相続~

最高裁昭和61年12月5日第二小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人・上告人)Aの相続人

Y:(被告・被控訴人・被上告人)税務署長

A:土地の所有者

Aは農地をBに譲渡。Bらは中間金を支払った後、土地を訴外Cに転売。Aが急死したため契約の履行はおくれたが、残余代金は支払われた。

Aの相続人であるXは相続開始日には本件土地所有権はまだ移転してなかったため、相続財産は土地自体であるとして路線価に基づき相続税額を計算し納税申告を行ったが、Yは本件土地の売買代金債権を相続財産に算入し、更正、過少申告加算税の賦課決定処分を行った。Xは不服として提訴。

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共同相続人の連帯納付義務

最高裁昭和55年7月1日第三小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)Aの長男であり相続人
Y:(被告・被控訴人・被上告人)国
A:Xの被相続人
B:Aの長女、
C:Aの養子

B及びCが相続税を完納しなかったため、Xが連帯して納付義務があるとし、徴収のためX所有の宅地を差し押さえ。Xは宅地を訴外F会社に売却。Fは国税局長に対し、Xの連帯納付義務の代位弁済としてB及びC分の相続税等を支払い、Fは当該代位弁済の求償権をもってXに対する宅地の売買代金債務と対等額で相殺。
Xは連帯納付義務は、手続上共同相続人に連帯納付義務を追及できない。これを国税通則法15条1項の「国税を納付する義務」と解しても、付加課税方式により確定されるものと解するしかなく、その決定は同法32条3項により納付すべき税額等を記載して賦課決定通知書を送達すべきで、送達のない場合、連帯納付税額の確定はされておらず、連帯納付義務は不存在であると主張。

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