真実の所有者に対する不当利得返還請求権

最高裁昭和47年1月25日第三小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・被控訴人・被上告人)
Y:(被告・控訴人・上告人) 税務署長

本件建物はYの所有。本件土地・建物につき、所有者が不知の間に所有権移転登記が順次移転し、最終的にXに至った。しかしYの所有である旨の全部勝訴判決が確定。この抹消登記がされないまま、Xは登記名義人として、本件土地建物の固定資産税を納付。Xは真の所有者が支払うべきものとして、本訴を提起。

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不動産取得税~不動産の取得の意義~

最高裁昭和48年11月16日第二小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人・被上告人)

Y:(被告・控訴人・上告人) 都税事務所長

Xは訴外Aとの間で手形割引、継続的貸付契約に基づき、AのXに対する現在および将来の債務を担保するため、不動産の所有権を担保目的でXに信託的に譲渡すること、Aが債務を期間内に完済し、原契約の終結を希望するときは、当該不動産をAに無償で返還することを内容とする譲渡担保契約を締結し、所有権移転の登記を行った。

Yは不動産の取得に当たるとして、Xに対し不動産取得税の賦課処分。

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登録免許税の争い方

最高裁平成17年4月14日第一小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人・附帯控訴人・被上告人)阪神淡路大震災で建物が損壊し、新築

Y:(被告・控訴人・上告人)法務省登記官及び国

Xは建物登記について、大震災の免税措置を知らずに、通常の登録免許税を納付。その後、特例法の免税措置に気づき、税務署長宛てに法31条1項の通知をすべき旨を請求。Yは登録免許税の過誤納がないため、通知できないとして、国税不服審判所へ審査請求できる旨Xに通知。

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軽油引取税の納税義務者

最高裁平成22年2月16日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・被上告人)軽油取引会社

Y:(被告・被控訴人・上告人)税務署長

訴外Aの工場を介していたが、同時期に複数の者から重油等の持ち込みを受けており、Xを含むこれらの者が搬出した軽油がどの顧客の持ち込んだ原料から製造されたか判然としなかった。Yは、Xが軽油を製造して譲渡したと認定し、軽油引取税に係る課税標準量、税額及び不申告加算金額を決定する処分をした。Xは軽油を製造していないとして本件処分の取り消しを求めた。

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帳簿不提示と仕入税額控除

最高裁平成16年12月16日第一小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)大工を営む個人事業者
Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

所得税の確定申告をしたが消費税の申告は行わなかった。また収入金額や経費等の内訳を記載した書類を添付しなかった。税務調査でも交際費の費用以外の帳簿書類を提示しなかった。Yは課税仕入れを交際費分だけ認め、決定処分及び無申告加算税賦課決定処分。

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仮名記載と仕入税額控除

東京地裁平成9年8月28日判決

(事件概要)
X:(原告)医家向け専門の医薬品の現金卸売業
Y:(被告) 税務署長

YはXの税務調査を行ったところ、現金決済取引の仕入帳が仮名であり、消費税額の控除は認められないとし、増額更正処分。

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「資産の譲渡」の概念

福岡高裁平成24年3月22日判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人)内航海運業者

Y:(被告・控訴人) 税務署長

内航運航業界では船舶の過剰対策として、船舶建造を行うためには一定の割合で既存船舶を解体することを義務付けた。その解体費用につき、交付金を支払う制度がある。Xは上記制度を利用して、船舶建造をするために取引を行い、消費税込みで費用を支払った。

Xは本件承諾書取引及び預託金証書取引において、課税仕入れに含めて計算したところ、Yは課税取引に該当せず、仕入税額控除は認められないとして更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分。Xは取り消しを求めて提訴。

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課税仕入れにおける対価の意義

大阪地裁平成24年9月26日判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)ビルの管理運営、駐車場の経営及び区分所有建物の賃貸業
Y:(被告・被控訴人・被上告人)税務署長

各区分所有者全体で団体を構成。Xは各部屋を各賃借人に貸し付け、各賃借人は賃料の他、各部屋に係る管理費、諸経費をXに支払い。Xは各管理組合に管理費のうち一部を負担。Xは消費税の計算において、管理費の額を課税仕入れとし、各賃借人が支払った管理費相当額を課税売上に計上せず、申告。Yは更正処分。

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建物賃貸借立退料の課税仕入れ該当性

東京地裁平成9年8月8日判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)扇子製造販売

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

X所有の建物に対して賃借人に立退料を支払い、建物の明け渡しを受けた。立退料を課税仕入れとして仕入税額控除。Yはこれを認めず更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行った。Xは不服として出訴。

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免税事業者の課税売上高

最高裁平成17年2月1日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)免税事業者と思い込んでしまった事業者

Y:(被告・被控訴人・被上告人)税務署長

税抜価額で基準を下回った企業が免税事業者であると消費税の申告をしなかったが、Yは課税事業者であるとして消費税の決定及び無申告加算税の賦課処分決定。

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