医師優遇税制と修正申告

最高裁平成2年6月5日第三小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・被控訴人・上告人)歯科医師
Y:(被告・控訴人・被上告人)筑紫税務署長

社会保険診療報酬による事業所得は実額経費に変えて、収入金額に法律で定める一定の率を乗じたもの(概算経費)を必要経費とできる。確定申告後、概算経費の方が有利であると判断して算出。その後自由診療収入の計上漏れがあったこともあり、修正申告。なお社会保険診療収入報酬分は実額経費で申告。
YはXの修正申告のうち社会保険診療報酬の必要経費を実額経費から概算経費に改めた上で更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分。

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確定申告に関する錯誤の主張

最高裁昭和39年10月22日第一小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)共同相続制度を知らず家督相続で財産全部を相続した相続人
Y:(被告・被控訴人・被上告人)税務署長・国

Xは確定申告をしたが滞納、差押処分。Xは申告は自己の所得でないのに誤解してなしたものであり、法律行為の要素に錯誤があるとして、差押処分の無効確認訴訟を提起。

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過納金の還付と相続税

最高裁平成22年10月15日第二小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・被控訴人・上告人)相続人
Y:(被告・被控訴人・被上告人)税務署長

処分行政庁がA及びBの所得税について更正処分や過少申告加算税賦課決定処分。Aは別件処分の取消訴訟提起。その結果、過納金をAの相続人であるXに還付。Xは一時所得として処理、しかしYは相続財産であるとして相続税の更正処分、過少申告加算税賦課決定処分、及び所得税の減額更正処分。Xはこれら取消訴訟を提起。

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過誤納金の還付請求権

最高裁昭和49年3月8日第二小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・被控訴人・被上告人)
Y:(被告・被控訴人・被上告人)国

税務署長はXに対して、所得税の更正処分を行い、滞納処分により徴収。その金額はXが貸し付けたときに生じた利息損害金を所得として生じたものであった。その後、Xは元本の回収すら失う恐れが生じ、利息損害金債権を放棄。これが回収不能となったため、国に対して、不当利得返還請求訴訟。

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更正処分の誤りと延滞税

最高裁平成26年12月12日第二小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)
Y:(被告・被控訴人・被上告人) 市川税務署長

Xは相続税の申告及び納付をしたが、その後、相続土地の評価額が時価よりも高いとして更正の請求。Yは減額更正を認め過納金還付。
さらに土地の価格が時価よりまだ高いとして、異議申し立て。逆にYは減額攻勢による土地の評価額が時価よりも低いとして増額更正。また延滞税の催告。法60条1項2号は更正を受けた場合に法定納期限の翌日からその国税を完納する日までの期間の日数に応じ延滞税を課している。

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過少申告加算税における「正当な理由」

最高裁平成18年4月20日第一小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人=附帯控訴人・被上告人)国税OBの脱税税理士に仕事を依頼しちゃった人

Y:(被告・控訴人=附帯被控訴人・上告人) 雪谷税務署長

Xが依頼した税理士は虚偽の記載をしてゼロの確定申告を作成。YはXに対して臨場調査。さらに重加算税を付加。Xは処分の取り消しを求めて出訴。

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重加算税~税理士との意思の連絡~

最高裁平成18年4月25日第三小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・被控訴人=控訴人・被上告人=附帯上告人)
Y:(被告・被控訴人・被上告人)雪谷税務署長

Xは国税OB税理士に確定申告手続きを依頼。報酬総額520万。税理士はXの住所欄に虚偽の住所、必要経費欄に虚偽の金額を記載し、所得税ゼロの確定申告書を作成。しかも統括国税調査官に謝礼金500万円を支払い、過少申告を黙認。Yは過少申告加算税、重加算税賦課。

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固定資産評価基準の意義

最高裁平成25年7月12日第二小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)
Y:(被告・被控訴人・被上告人) 府中市

Xは土地課税台帳に登録した価格につき、建蔽率や容積率の制限を適切に考慮していないとして審査の申し出をしたところ、委員会は審査の申し出を棄却。XはYを相手に決定の取り消し訴訟を提起。

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固定資産税における適正な時価

最高裁平成15年6月26日第一小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・被控訴人・被上告人)2つの土地の所有者
Y:(被告・控訴人・上告人)東京都固定資産評価審査委員会

Xは固定資産税の課税に対して、この価格が時価を超える違法な価格であるとして、Yに審査の申し出をし、取り消しを求めた。

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物的非課税

最高裁平成6年12月20日第三小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・被控訴人・被上告人)住民
Y:(被告・控訴人・上告人)  市長

A市は所有者から、スポーツ施設運営のために土地を借り受けた。固定資産を有料で仮受けている場合には固定資産税を課するとしていたが、市長は本件土地が地方税法348条2項1号の固定資産に当たるとして、固定資産税を付加しない措置を取った。住民XらはYが固定資産税の賦課を行ったとして地方自治法242条の2第1項4号に基づき住民訴訟を提起。

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