移転価格税制における推定課税

東京地裁平成23年12月1日判決

(事件概要)

X:(原告)パチスロ台用モーターの製造販売を行う企業

Y:(被告)税務署長

A:Xの仕入先(国外の非関連者)

Aを介在させたことで仕入れ価格が2倍強となった。Xは租税特別措置法第66条の4第7項に基づき算定した価格を本件取引の独立企業間価格として更正処分。Xは取り消しを求めて出訴。

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独立企業間価格の意義(2) ~残余利益分割法~

東京高裁平成27年5月13日判決

(事件概要)
X:(原告・被控訴人)自動二輪車等の製造および販売を主たる事業とする内国法人
Y:(被告・控訴人)国
A:ブラジルの現地法人(マナウスフリーゾーン)

XとAは自動二輪車の部品等の販売及び技術支援の役務提供取引を行う。YはXの対価の額は租税特別措置法第66条の4第2項及び同法施行令39条の12第8項に定める残余利益分割法により算定された独立企業間価格に満たないとして、上記各事業年度の所得を増額する各更正を行ったところ、これを不服としてXが取り消し訴訟に及んだ。

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独立企業間価格の意義(1)~アドビ事件~

東京高裁平成20年10月30日判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)Pのソフトウェア販売支援等を行う会社

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

P:国外関連者 ソフトウェア開発企業

Xは親会社であるアメリカ法人から製品を購入し再販していたが、役務提供補形式へ取引の形態を変更させた結果、粗利は10%低下した。税務署長は、独立企業間価格を算定し、法人税の増額更正及び過少申告加算税の賦課決定処分を行った。

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タックスヘイブン対策税制の適用除外要件~来料加工~

東京地裁平成24年7月20日判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)カメラ用フラッシュユニットのメーカー

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

A:香港を本店所在地とする会社(原告の役員が設立)

B:中国広東省を所在地とし、カメラ用フラッシュユニットの組み立てを行う会社

AはBとの間で、Aが設備、原材料を無償提供し、完成した製品を全量無償で引き取り、AからBに対して加工賃を支払う委託契約、来料加工を締結。

YはAが租税特別措置法66条の6第1項及び同40条4第1項に特定外国子会社に該当するとして、Aの課税対象留保金額はXの益金に算入されるとして、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分。

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タックスヘイブン対策税制の条約適合性~グラクソ事件~

最高裁平成21年10月29日第一小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)Aの株式9割を保有する内国法人
Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長
A:シンガポールで設立された外国法人、胃潰瘍薬の製造販売事業

Aは上記事業を関連会社に譲渡。シンガポールの株式譲渡益は非課税であるため、租税の額はAの課税所得の4%程度にとどまった。YはAがいわゆるタックスヘイブン対策税制の特定外国子会社等に当たるとして、更正及び過少申告加算税賦課決定。Xは日星租税条約7条1項に反するとして争う。

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国際課税における源泉徴収の意義

東京高裁平成23年3月4日判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)建設業
Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長
A:非居住者

Xが非居住者Aから不動産を購入、但し源泉徴収を行わず。Yは所得税法212条1項及び同法213条1項2号による源泉徴収義務があったにもかかわらず、これを行わなかったとして納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分を行った。

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外国法人に対する使用料と源泉地~シルバー精工事件~

最高裁平成16年6月24日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人・被上告人)シルバー精工

Y:(被告・控訴人・上告人) 税務署長

A:Xの商品を外国で販売

B:X等に対してアメリカの特許権を侵害していると訴えた企業

XはBと和解し、源泉徴収税額を控除することなく、紛争解決対価を支払った。Yは本件金員は所得税法161条7号イ所定の国内源泉所得に該当するとして、Xに対し納税の告知及び不納付加算税賦課決定。Xは取り消しを求めた。

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課税権の及ぶ範囲~オデコ大陸棚事件~

東京高裁昭和59年3月14日判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)海底石油等の掘削を事業目的とするパナマ法人
Y:(被告・被控訴人・被上告人) 芝税務署長
A:パナマ法人だが日本支社を有する、Xがその日本支社を実質的本拠としていた。

Xは法人税の確定申告をしなかった。Yは本件掘削作業の地域は日本の主権的権利が及び、課税権も及ぶから国内すなわち法人税法の施行地であり、Xは「国内において、その作業を1年を超えて行う外国法人」(法税141条2号)に該当し、各対価は国内源泉の事業所得(法税138条1号)であるから法人税の納税義務があるとして法人税の決定処分を行った。

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損害賠償請求権の益金計上時期 ~日本美装事件~

東京高裁平成21年2月18日判決

(事件概要)
X:(原告・被控訴人)ビル総合清掃業務等を営む法人
Y:(被告・控訴人) 国
A:Xの経理部長

Xは架空外注費の計上が発覚。経理部長の懲役実刑判決及び、損害賠償請求が確定。Yは架空外注費計上等を理由に法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分。Xは審査請求段階で維持された期間の各処分の取り消しを求めて出訴。

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過大徴収電気料金の返還の収益の計上時期~相栄産業事件~

最高裁平成20年9月16日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)自動車部品の製造等をする株式会社

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

電力会社から過大な請求をされ、それに基づいて損金に算入して法人税納付を行ってきた。Xはその後、過収電気料金を徴収されていた期間を各年度の損金の額から減額する修正申告を行ったところ、Yは返戻金全額を本件事業年度の益金に計上すべきであるとして、更正処分と過少申告加算税の賦課決定処分。Xは取り消しを求めた。

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