賃料増額請求

最高裁昭和53年2月24日第二小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人・被上告人)土地を賃貸

Y:(被告・控訴人・上告人) 税務署長

Xは訴外Aに土地を賃貸。Aに対し賃料増額請求の訴えを起こし、最終的にはAに対し、建物の明け渡し、延滞賃料等の支払い、担保を条件とする仮執行宣言を付した判決を言い渡した。その継続中にXがAから受徴した弁済を各年分の収入金額に計上されるとして、Yが更正及び過少申告加算税の賦課決定処分。

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輸出取引に係る収益の計上時期~大竹貿易事件~

最高裁平成5年11月25日第一小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)輸出業者

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

通常、輸出取引による収益計上は、船積時を基準としているが、Xは、荷為替手形を取引銀行で買い取ってもらう際に、船荷証券を取引銀行に交付することで商品の引き渡しをしたものとして、荷為替手形の買い取り時点で収益を計上した。

Yは公正会計処理基準に適合しないとして、税額の更正。取り消しを求めてXが出訴。

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同族会社の行為計算の否認と所得税

最高裁平成6年6月21日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)土地・建物・駐車場の所有者

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

A:Xとその妻の同族会社

XはAと賃貸契約を締結、賃貸料を受領。Aは第三者に貸して、転貸収入を受けている。Yは同種の不動産貸付業を参考に、適正賃貸料を算定、更正を行う。Xはこれの取り消しを求めて出訴。

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同族会社の行為計算の否認と法人税

最高裁昭和33年5月29日第一小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人・被上告人)

Y:(被告・控訴人・上告人) 税務署長

Xは訴外Aを買収、Yは同族会社のXの株式買収行為は清算所得税逋脱の目的があるとし、税法上否認、合併交付金と認定して課税決定。

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交際費の意義~萬有製薬事件~

東京高裁平成15年9月9日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)医家向け医薬品の製造販売を業とする株式会社

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

Xは医師から医学論文等の英文添削の依頼を受けたが、添削業者に3倍以上の料金を支払い、それが発覚。Yは英文添削を依頼した医師等がXの事業に関係ある者に該当し、支出の目的外資への接待に当たり、交際費の額になり、損金の額に算入されないとして、Xの法人税につき更正処分。交際費ではなく寄付金であると主張し、更正処分の取り消しを求めて提訴。

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事前確定届出給与

東京地裁平成24年10月9日判決

(事件概要)

X:(原告)超硬工具の製造および販売を行っている法人

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

Xは事前確定給与の届け出を行った。その後厳しい経済状況による業績の悪化を理由に夏季賞与を減額。変更届は行わなかった。Xは夏季賞与については申告調整で損金不算入、冬季賞与は事前確定届出給与に該当するとしてその額を損金算入して確定申告。Yはそれに該当しないとして損金不算入とする更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分。

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確定決算主義

福岡地裁平成19年6月19日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人)不動産賃貸業を営む有限会社

Y:(被告・被控訴人) 国

Xは青色申告を提出したが、旧決算報告書は税理士資格を有しないものが作成し、社員総会の承認を得ていないこと、保有上場株式の価値が著しく低下しているにもかからず、それが計上されていないことで修正を加えた決算報告書を作成し、再度申告を行った。

Yは、増額更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分。Xは取り消しを求めて審査請求。

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公正処理基準~ビックカメラ事件~

最高裁平成25年7月19日判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人)ビックカメラ
Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

Xの行った不動産の流動化につき、証券取引等監視委員会の指導を受け、本件信託財産の譲渡を金融取引として取り扱う会計処理の訂正を行った。この前提とした処理で納付すべき税額が課題になったとして更正。Yが更正すべき理由がないと請求。その取り消しを求めて出訴。

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貸倒の意義~興銀事件~

最高裁平成16年12月23日第二小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人・上告人)金融機関

Y:(被告・控訴人・被上告人) 税務署長

A:住宅金融専門会社

Xは住専7社に対する減免予定債権額に対する一般貸倒引当金の残高が不十分であり、住専7社に対する債権についての債権償却特別勘定の設定もしていなかったため、直接償却。Aに対する債権を全額放棄。放棄額を損金の額に算入。

Yは上記の損金算入を否認し、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分。

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減価償却資産の判定単位~NTTドコモ事件~

最高裁平成20年9月16日第三小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・被控訴人・・附帯控訴人・被上告人)NTTドコモ
Y:(被告・控訴人・上告人) 税務署長
A:PHS事業者

XはA社からPHS事業の営業譲受。エントランス回線利用権を取得。少額減価償却資産に該当するとして、取得価額全額を損金算入。Yは少額減価償却資産に当たらないとして法人税の更正処分。Xは不服として出訴。

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