非課税となる損害賠償金等の範囲

名古屋地裁平成21年9月30日判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人・被上告人)商品先物取引 

Y:(被告・控訴人・上告人)税務署長

Xは商品取引員であるA商事会社に委託して商品先物取引を行ったが、結果的に損失を被った。その後で、XはAと和解。和解金を受領。これを所得に計上せずに確定申告を行った。税務署は和解金が雑所得に該当するとして、更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分。和解金は所得税法9条1項16号及び30条2号の非課税所得に当たるから所得税の課税対象とはならないとして出訴。

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非課税所得

(生保年金二重課税事件)

最高裁平成22年7月6日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人・上告人)保険受取人 

Y:(被告・控訴人・被上告人)税務署長

Aを被保険者Xを保険受取人とする年金払い特約付きの生命保険契約を締結。Aが死亡したため、Xは特約年金として10年間にわたり毎年230万円ずつを受け取る権利を取得。Xは年金の金額を収入金額に算入せず、相続税の課税価格に算入。Yは年金の収入を雑所得として、更正処分。Xは取り消しを求めて争う。

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所得税法56条の適用範囲

(弁護士夫婦事件)

最高裁平成16年11月2日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)弁護士

Y:(被告・被控訴人・被上告人)税務署長

Xが妻であり弁護士であるAに対して、Xの営む事業に従事した労務の対価として必要経費として控除し、確定申告。YはXの収入額からの控除を認めず更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を行った。但し、Aは別途自ら事務所を構え、独立して弁護士業務を営んでいる。

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夫婦財産契約と所得の帰属

東京地裁昭和63年5月16日判決

(事件概要)

X:(原告)

Y:(被告)税務署長

夫婦財産契約を締結し、Xが得た弁護士報酬等の2分の1を妻の所得とする確定申告をした。YはXが得た所得の夫婦間での分割を認めず、更正処分及び過少申告加算税賦課処分。Xは不服申し立て。

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課税単位

最高裁昭和36年9月6日大法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)

Y:(被告・被控訴人・被上告人)国税局長

X名義で取得した事業所得は妻の家事労働等の協力によって得たものであるから夫婦各々に等しく帰属すると考え、分割して確定申告書を提出。Yは全てXに帰属するものとして更正処分及び加算税賦課決定処分を行った。

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外国子会社の欠損金の帰属

(双輝汽船事件)

最高裁平成19年9月28日第二小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人・上告人) 双輝汽船

Y:(被告・控訴人・被上告人) 今治税務署長

A:Xの100%子会社 パナマ

Aを設立した後も、資産、負債、損益は全てXに帰属するものとして法人税及び消費税の申告を行っていた。YはAがタックスヘイブン対策税制が適用され、租税特別措置法第2条2号の範囲でしかAに発生した損失を考慮できないと更正処分を行った。

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課税物件の帰属

(親子歯科医師事件)

東京高裁平成3年6月6日判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人)歯科医

Y:(被告・被控訴人) 税務署長

Xは息子と共に診療に従事。歯科医院の所得を息子と折半して申告。息子は独立事業者ではなく、Xの専従者であって、医院からの事業所得はXに帰属するとして更正処分及び加算税賦課処分決定。Xが異議申し立て。

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国税徴収法39条による第二次納税義務

最高裁平成21年12月10日第一小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人) Aの法定相続人の一人で、Aは国税の滞納者

AがX等と行った遺産分割協議が国税徴収法39条に第三者に利益を与える処分に当たるとして、Xが法定相続分を超えて取得した相続財産の価額から、諸々控除した残額がXの受けた利益の限度額であるとして、Xに対して、徴収法39条に基づく第二次納税義務の告知処分を行ったとこと、Xが不服申し立てをした。

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第二次納税義務

最高裁平成18年1月19日第一小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人・上告人)A社が保有していた株式の譲受人

Y:(被告・控訴人・被上告人)国税不服審判所長

A社に対し法人税の決定及び無申告加算税賦課決定を行い、Xに対して主たる課税処分に基づく第二次納税義務の納付通知書を発する。Xは不服申し立て。Aに対する告知された翌日から起算すれば2か月を超過していたため、不服申立期間を経過しているという理由で却下。

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