法人税法22条3項1号の売上原価と費用見積金額

最高裁平成16年10月29日第二小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)宅地開発業

Y:(被告・被控訴人・被上告人)税務署長

Xは法人税について虚偽過少申告をして法人税を免れたとして起訴。XはA市の土地を購入し、宅地造成販売。宅地開発は知事の許可とA市の合意が必要。A市の合意を受けて、Xは本件宅地を造成して販売、その収益を益金算入。

A市の指導が二転算定し、Xが工事の見積もりをしてそれを売上原価に算入。

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脱税工作のための支出金の損金性

最高裁平成6年9月16日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)不動産売買などを目的とする会社

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

Xが架空造成費を計上して所得を秘匿、法人税を過少申告したとして法人税法違反で訴追された事案。

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法人税法22条2項に言う「取引」の意義~旺文社ホールディング事件~

最高裁平成18年1月24日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人・上告人)旺文社ホールディングス

Y:(被告・控訴人・被上告人)税務署長

A:Xのオランダ100%子会社 アトランティック社

B:センチュリー文化財団のオランダ100% アスカファンド 

XはAに対して特定現物出資。税務上の簿価と時価を圧縮記帳し含み益についての課税を繰り延べ。AがBに第三者割当増資。XのAに対する持ち分は100%→6.25%へ低下。払込金額は有利発行で、XからBへの資産価値移転が生じた。当時の日蘭租税条約では、受贈益に課税されず、Bは公益法人であり、タックスヘイブン対策税制の適用で我が国の法人の課税所得と合算課税されず。Yは更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分。第1審ではX勝訴。控訴審ではYが逆転勝訴。Xの上告。

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無利息融資と法人税法22条2項~清水惣事件~

大阪高裁昭和53年3月30日判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人)織物、繊維製品、雑貨の売買と貿易を目的とする株式会社

Y:(被告・控訴人) 税務署長

T:訴外、繊維、化成品の製造と販売を目的として設立された株式会社

XとTは法人税法上の同族会社、XはTに無利息融資。Yは無利息融資につき年10%の利率による利息相当額を寄付金認定、更正処分。Xは異議申し立て。

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定額譲渡と法人税法22条2項

最高裁平成7年12月19日第三小法廷判決

(事件概要)

X1:(原告・控訴人・上告人)南西通商株式会社:金融業

X2:(同) X1の代表取締役

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

X1からX2に対して、株式を低額譲渡。Yは、X1については、法人税法22条2項により時価との差額に相応する金額を益金に算入する更正処分、X2については、その差額を給与所得とする更正処分。Xは処分取り消しを求め出訴。

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収益事業の意義~ペット葬祭業事件~

最高裁平成20年9月12日第二小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)宗教法人

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

Xは宗教法人であり、ペット葬祭業については非営利事業として確定申告を行わなかった。Yはペット葬祭業は収益事業に当たるとして無申告加算税賦課決定処分を行った。Xは異議申し立て。

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配偶者控除

最高裁平成9年9月9日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

A:Xと内縁関係

Xは内縁関係のAに配偶子控除を適用。税務署長は内縁の妻は配偶者控除の対象とならないとし、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分。Xは内縁に妻に配偶者控除を認めないことは憲法14条、25条及び国際人権規約23条1項に違反すると出訴。

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雑所得と損益通算の可否

福岡地裁昭和54年7月17日判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人)会社役員

Y:(被告・被控訴人) 税務署長

S:商品取引員である訴外会社

XはSと売買取引の委託契約を締結。Sの担当者が大納会で成り行き注文を決済する手続きを失念。翌年売買損失を被った。確定申告で、この損失は前年の損失として雑所得から控除して確定申告。Yは前年分からは控除できないとして更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分。Xは異議申し立て。

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一時所得と雑所得の区別

最高裁平成27年3月10日第三小法廷判決

(事件概要)
Y:(被告)インターネットで馬券を購入している事業者
X:(原告・控訴人・上告人) 検察官

Yは馬券を継続的に購入していたが、払戻金での多額の利益も申告しなかったとして単純無申告犯として所得税法違反に問われた。

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譲渡所得における取得費の引継ぎ~ゴルフ会員権贈与事件~

最高裁平成17年2月1日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)ゴルフクラブ会員権の贈与を受けた者

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

Xは確定申告時に本件代金と手数料の合計額を取得費として、長期譲渡所得の金額を算定。Yは本件手数料の取得費算入を認めず、増額更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分。Xは異議申し立て。

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