譲渡所得における取得費~借入金利子~

最高裁平成4年7月14日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)土地・建物の購入者、銀行借り入れをした者

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

Xは土地建物を購入し、銀行から借り入れを行った。確定申告時にこの借入利息を全額控除(取得費に算入)。Yは取得費に算入できる利子は資産の使用開始前に相当する部分であるとして、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分。

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譲渡の意義~財産分与~

最高裁昭和50年5月27日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)財産分与により土地を譲り受けた者

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

XはAと離婚時に、慰謝料として不動産を取得。譲渡所得としてこの不動産を含まず、Yが更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分。Xは譲渡所得は有償譲渡に限ると主張。

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譲渡の意義~負担付贈与~

最高裁昭和63年7月19日第三小法廷判決

X:(原告・控訴人・上告人)訴外Aの配偶者

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

A:浜名湖競輪場に隣接する土地を所有。

AはXらに共有持分を無償で譲渡する代わりにAの第三者に対する債務を支払う旨の土地所有権移転契約を締結。Xらは所得税の確定申告に当たり、贈与で取得したものとして、所得税法60条1項1号を適用し、それら土地の保有期間をAから引き継いだとしてこの譲渡所得を適用して税額を算出。Yは贈与に該当しないとして、増額更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行った。

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二重利得法

松山地裁平成3年4月18日判決

(事件概要)

X:(原告)建築設計及びアパート経営を業とする者

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

Xは相続当時山林であった土地は宅地造成工事を完了して引渡すことを条件に処分。YはXの所得税について、所得税基本通達33-5を適用し、宅地造成によって生じた利益に対応する部分を事業所得、その他の部分を譲渡所得として所得税賦課決定処分。Xは土地の売却益は譲渡所得であると主張し出訴。

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譲渡所得の意義

最高裁昭和47年12月26日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)訴外Aの相続人

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

A:不動産を訴外Bに譲渡し、死亡。

代金約3,000万円の不動産の譲渡に当たり、本年中にAが取得した譲渡所得の金額は、手付金100万円と50万円づつ支払うという割賦にしたから、そこで現実に収受した150万円のみとして更正の請求。Yは認められないとして争う。

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10年退職金事件

最高裁昭和58年12月6日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人・被上告人)会社の社長

Y:(被告・控訴人・上告人) 税務署長

Xは会社経営が厳しくなり、勤続満10年定年退職制を実施し、その時点で退職金を支払い、その後再雇用をした。Yは、この退職金は給与所得に該当するとして源泉徴収納付義務告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分。Xは異議申し立て。本訴を提起。

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ストックオプション課税~給与所得か一時所得か~

最高裁平成17年1月25日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人・上告人)アメリカ法人Aが100%保有している国内法人Bの代表取締役

Y:(被告・控訴人・被上告人) 税務署長

Xはアメリカ法人よりストックオプションを付与。行使後、一時所得として確定申告書を提出。Yは本件権利行使益が所得税法28条1項所定の給与所得に該当するとして更正処分。Xは不服として更正処分取り消しを求めた。

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事業所得と給与所得の区別

最高裁昭和56年4月24日第二小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)弁護士

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

Xは顧問料を給与所得として確定申告。Yは事業所得として更正処分。

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不動産所得と譲渡所得の区別

東京高裁平成21年5月20日判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人)土地所有者 

Y:(被告・控訴人・上告人)税務署長

Xの土地に容積率において余剰分があった。そして本件余剰容積を移転する内容の地役権設定契約書を作成。本件契約に基づき対価を受領。

Xはこれを一時所得として、その他は不動産所得として確定申告。その他は余剰容積利用権という資産譲渡の対価であり、譲渡所得であるとして更正請求。税務署長は更正すべき理由なしとして通知処分、Xに対しても更正処分、過少申告加算税賦課決定処分。Xは取り消しを求める訴えの提起。

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利子所得の意義(デット・アサンプション)

東京高裁平成18年8月17日判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人)金融機関 

Y:(被告・被控訴人)税務署長

Xは内国法人と社債発行会社発行の社債に係る元利金償還債務の履行引き受けを内容とするデット・アサンプション契約を締結。これは契約締結で債務は消滅しないものの、金利負担を削減でき、会計上は償還がされたものとしてオフバランス処理ができる。実質的には繰上償還と同じ経済効果が得られる。

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