使い込みをした社員の退職時に貸し倒れ処理をした

当社は不動産仲介業者ですが、社員の仲介手数料の着服が発覚しました。そこで就業規則の規定通りに懲戒免職をしました。また、着服されたお金は返ってこない可能性が高く、貸倒損失としました。

1.ポイント

税務上貸倒損失になる要件は通達に規定されています。退職時にすぐに貸倒損失に計上することはできません。ひとまず会計上、着服金額相当を当該従業員への貸付金として計上しその後、要件が満たされた時点で貸付金の貸倒れとして処理をします。

2.解説

個人に対する貸付金の貸倒損失が認められるためには、客観的事実をそろえることが重要です。当該従業員の財産状況を調べ回収の努力をしたかということと、その事実を証明する根拠資料を用意しておきましょう。以下のような対応が考えられます。

チェックポイント必要資料理由
自宅はマイホームか賃貸か謄本回収できる財産の根拠となります。
マイホームは抵当に入っているか謄本借入残がある場合、回収できない根拠となります
警察に被害届を出したか 警察の捜査により回収できないことが明らかになる場合があります。
弁護士を通じて損害賠償を請求したか 交渉により回収額が判明する場合があります。

退職時にすぐに損金処理するのではなく、根拠書類をそろえ、もう回収できないと分かった時点で貸倒損失の処理をしましょう。貸倒損失の損金計上については、なぜその時期に落としたのかという根拠をそろえられるかです。

情報提供料が交際費とされてしまった

不動産業を営む当社は、不動産の物件情報を提供してくれた知人に、謝礼として相当程度の金額を支払いました。そして、これを情報提供料として損金経理していましたが、交際費ではないかとの指摘を受けました。

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